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日本の名産漬け物大特集

日本人の食文化とは、切っても切れない関係にあるのが漬け物です。日本各地には、その土地の気候や特産品を活かしたユニークな漬け物がいっぱい。北は北海道から南は沖縄まで全国の名産漬け物を大特集しました。

「松前漬け」(北海道)
北海道では、特産の海の幸を使った漬け物が多くあります。中でも有名なのが、コンブと干しスルメを細かく切りみりんと醤油で調味した液に漬ける「松前漬け」です。昔、北海道のことを松前と呼んでいたことから名付けられてようです。 「いぶりがっこ」(秋田県) 寒さが厳しい東北地方は、漬け物王国とも言える地域ですが、中でもユニークな漬け物が秋田県名産の「いぶりがっこ」です。これは大根を囲炉裏の天井につるして煙でいぶし干しにして、それを糠漬けにしたもので、独特の歯ごたえといぶし香があります。

金婚漬け 「金婚漬け」(岩手県)
岩手県に古くから伝わる漬け物で、ウリのワタをくり抜き、その中にコンブで巻いた大根や人参を詰め味噌漬けにしたのが「金婚(きんこ)漬け」です。「きんこ」とは陸中海岸の浅瀬にすむナマコのことで、漬け物形状がナマコに似ていることからこう呼ばれています。

「たまり漬け」(栃木県)
徳川家康を祭った東照宮のある日光で名産の漬け物が「たまり漬け」です。たまりとは、熟成したもろみのエキスようなもので、その液に大根やキュウリ、ナス、らっきょうなどの野菜をベッコウ色になるまで漬け込みます。そのため、野菜の中に発酵熟成した旨みが凝縮されています。

べったら漬け 「べったら漬け」(東京都)
毎年10月19日、日本橋小伝馬町にたつ「べったら市」。この名称になった「べったら」とは、こうじで漬けたたくあんのことで、市では漬け物業者の「べったら、べったら」と景気のいいかけ声がこだまします。

「野沢菜漬け」(長野県)
全国的にも有名な「野沢菜漬け」は、赤カブの一種である野沢菜をカブが大きくなる前に茎を塩漬けにした漬け物。約250年ほど前、京都で修業した健命寺(別名、漬物寺)の住職が赤カブの種子を持ち帰り特産になったことから、野沢菜漬けが広まったということです。

「ワサビ漬け」(静岡県)
伊豆、天城は古くからワサビの産地として知られ、そこで名産となったのが「ワサビ漬け」です。もっとも、昔は糠漬けのワサビ漬けだったようですが、江戸時代の中期になって駿河(今の静岡市)のワサビ商人が粕漬けに改良し好評を博したことから今日のワサビ漬けになったとのことです。

「かぶらずし」(石川県)
海の幸が豊富な石川県にも、魚を使ったユニークな漬け物があります。それが、カブを厚手に輪切りにして、その間にブリをはさみ塩と麹とコンブで漬け込む「かぶらずし」です。ただしブリは高級魚なので、庶民の間では大根とニシンで漬けた「大根ずし」が一般的だったようです。

千枚漬け 「千枚漬け」(京都府)
カブを千枚にも切るように薄く切って酢漬けにしたのが「千枚漬け」です。昔は乳酸発酵で酸味をつけていましたが、慶応元年(1865年)大黒屋藤三郎という人が酢漬けをはじめ、そこにコンブや甘みが加わり今日の千枚漬けになったようです。 「しば漬け」(京都府) 京都の大原で古くから漬けられていたのが、ナスやミョウガ、しそなどを刻んで塩漬けにした「しば漬け」です。その名称は、壇ノ浦で滅亡した平家の中で1人生き延びた建礼門院が、しその葉の色から「紫葉漬け」と呼んだことから名付けられたと言われています。

奈良漬け 「奈良漬け」(奈良県)
酒粕に野菜を漬け込んだ「奈良漬け」も、高級な漬け物として全国的に有名です。その始まりは江戸時代初期、奈良の中筋町の医者、糸屋宗仙が奈良漬をつくりはじめたという説が有力で、かの徳川家康も大ファンだったということです。

「広島菜漬け」(広島県)
中国地方を代表する漬け物として有名なのは、広島県の「広島菜漬け」です。この広島菜の特徴は、根元から葉先まで鮮やかな緑色をしていることで、これを麹やコンブを使って塩漬けにします。歴史的には今から300年ほど前、安芸観音の住職が京都からこの菜の種を持ち帰って栽培したのが始まりと言われています。

「寒漬け」(山口県)
瀬戸内の宇部地方に古くから伝わっている干し大根の漬け物が「寒漬け」です。半干しにした大根を海水につけ、塩気をもたせてから荒縄で軒下につるし寒風の中で完全に干しあげます。12月から1月の厳冬の頃に漬けられることから、この名がついたということです。

「緋のカブ漬け」(愛媛県)
愛媛県松山地方に古くから伝わるのが「緋のカブ漬け」です。このカブは寛永4年(1627年)、出羽から松山城主に転封された蒲生氏が持ち込んだものとされています。漬け方は塩で下漬けした赤カブをダイダイの漬け汁で漬け直すもので、果汁の酸味が発色を促し見事な緋色に染まることからこう呼ばれています。

 「高菜漬け」(福岡県)
九州地方の漬け物で有名なのは「高菜漬け」です。高菜系の菜には辛子油が含まれ、ほのかなマスタードの辛みをもっています。このため、そのまま食べるよりも料理の材料として油炒めにしたり肉と一緒に煮込んだりといった使われ方をすることが多いようです。

「壺漬け」(鹿児島県)
大きな壺に海水を使って漬け込むことからこの名が付いたのが、南九州に伝わる「壺漬け」です。その歴史は今から400年ほど前、豊臣秀吉が朝鮮出兵したときにも保存食として持参したと言われています。別名は「山川漬け」とも呼ばれ、中国のザーサイに似た作り方をするそうです。

「パパイヤ漬け」(沖縄県)
沖縄県に伝わる漬け物は、南国らしく熱帯系の果物を材料にしたものが多いようです。中でも「パパイヤ漬け」は、パパイヤの実を薄く切って黒糖と酢で調味した漬け汁に漬け込んだもので、パリパリとした果肉の食感が特徴です。


※参考文献:小泉武夫著「漬け物大全」、小川敏男著「漬物と日本人」